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FXの自動売買を始めるならどっち?MT4とMT5の違いを交えて解説

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MT4とMT5の違いを7項目で比較

MT5(Meta Trader 5)は、MT4(Meta Trader 4)のアップグレード版です。ソフトの見た目や操作性、機能などにおいてMT5はMT4を踏襲していますが、アップグレード版だけにさまざまな面で機能が強化されています。

 

最初に、MT4とMT5の違いについて、7つの項目で比較してみましょう。

MT4とMT5の違い一覧表

MT4とMT5の違いについての7項目を、一覧表にしてみました。

比較項目MT4MT5
動作スピードもっそりとした動き速くてサクサク
標準のテクニカルインジケーター30種類38種類
標準の分析オブジェクト23種類44種類
時間足の種類9種類21種類
オリジナルインジケーターとても豊富まだまだ少ない
自動売買のEAとても豊富まだまだ少ない
板情報なしあり
注文方法一般的な注文方法を網羅MT4に加えてストップリミット注文など新たな注文が追加
※いずれもPC版のツールです

これらの比較を通じて全体的に言えることは、2点あります。

  • MT4は動作や機能面に古さがあるが、MT5ではそれが改善されている
  • しかしMT4はいまだ現役で、インジケーターやEAなどが充実している

この2点を前提に、個別の項目についてMT4とMT5の違いを解説していきましょう。

MT5は動作スピードが速い

PCのスペックや通信環境の影響もありますが、概してMT4は動作が全体的に遅く、「もっそり」とした動作イメージです。

これに対してMT5はスピードが大幅に改善されており、使用している人のストレスも軽減されます。

 

しかもこれは人間的なストレスだけの問題ではなく、EAが安定的に動作することでエントリーや決済の注文タイミングを逃さないという意味でも重要です。

MT5は標準のテクニカルインジケーターが多い

テクニカル分析に使用するインジケーターの数は、MT5が38種類、MT4が30種類です。

このようにMT5のほうが多く実装されています。しかしながらMT4、MT5ともにMeta Trader はカスタマイズ性が高いソフトなので、MT4にカスタムインジケーターを導入することでこの差は解決できます。

 

MT4に実装されているインジケーターは30種類ですが、これでも一般的なものはすべて網羅されており、不足を感じることはあまりないでしょう。

MT5は時間足の種類が多い

MT5は時間足の機能が強化されており、9種類だったMT4に対して21種類に増えています。

分析に使用できる時間足が細分化されているので、それぞれの投資家が得意としている分析手法にフィットしやすくなります。

 

こちらは、MT4の時間足です。

 

 

そしてこちらは、MT5の時間足です。

 

 

このように、「分足」と「時間足」にはさらに細かく選択肢が用意されています。

オリジナルインジケーターはMT4のほうが多い

Meta Trader はカスタマイズ性が高いため、世界中の投資家や開発者が製作したオリジナルインジケーターを導入して自分好みの分析ができるようにカスタマイズできます。

 

MT4は2005年にリリース され、約20年間使用され続けている現役のソフトです。

その期間の長さもあって世界中でさまざまなオリジナルインジケーターが開発されています。

MT5はまだまだ普及が進んでいないことやリリースからの期間が短いこともあって、質・量ともにMT4には及んでいない状況です。

 

ただし、Meta Trader の開発元であるメタクォーツ社もMT4からMT5への移行を推奨しており、今後はMT5の普及にあわせてMT5向けオリジナルインジケーターの開発が進むかもしれません。

自動売買のEAはMT4のほうが多い

前項と同じ理由で、自動売買のためのEAもMT4のほうが圧倒的に多く開発されています。

そのため、2024年時点で自動売買のためにMeta Trader を利用している人の大半はMT4を使用していると思われます。

 

しかしながらEAについても今後はMT5向けのものが多く開発され、次第にMT5による自動売買が主流になっていくと思われます。

MT5では板情報が利用可能

MT5では板情報が利用可能です。

板情報とはリアルタイムで見られる売買注文情報のことで、トレードの参考情報として役立ちます。

板情報はMT4 にはなく、MT5で新たに追加された機能です。

 

 

売り、買いともに注文のボリュームが多い価格帯はサポートやレジスタンスとして機能する可能性があるため、相場分析の一助となるでしょう。

この例では、151.752円付近にボリュームの多い買い注文が入っていることが分かります。

MT5ではストップリミット注文が利用可能

ストップリミット注文は、MT5から新規追加された注文方法です。

指定したレートになったら指値注文が出される、予約注文の一種です。「上方にレンジブレイクしたら指値の買いを入れる」といったように、IFDよりも複雑なオーダーを反映することができます。

 

 

上記は、「Buy Stop Limit」です。現在よりも高いところに設定したレートになったところで指値の買い注文を出す注文例です。

この1つの注文で、以下のトレードが執行されます。

  • ドル円が152円になったら「151円で買い」の指値注文を出す
  • ドル円が153円になったら利益確定
  • ドル円が151円になったら損切り

自動売買を始めるならMT4?MT5?

MT4、MT5ともに利用の目的がEAによる自動売買だという人はとても多いと思います。

開発されているEAの種類や充実度を考えると現段階では自動売買ならMT4を選ぶべきですが、その際にはいくつかの注意点があります。

 

ここでは自動売買をすることを前提に、MT4の優位性や注意点について解説します。

MT4はEAの種類が圧倒的に多い

自動売買が目的なら、2024年時点ではMT4を選ぶべきでしょう。

EAの種類がMT5と比べて圧倒的に多く、その中には成績が優秀なEAも多く含まれているからです。

 

リリースしてからの期間が長い分だけEAの運用年数も長くなっており、実績が豊富なEAを選びやすいのも優位性といえます。

MT4とMT5に互換性はない

MT4とMT5は開発元が同じで同じシリーズのソフトではあるのですが、この両者に互換性はありません。

MT4向けに開発されたEAをMT5で使用したり、その逆はできないと考えておいたほうがよいでしょう。

 

そのため、自動売買のためにEAを購入するのであればその時点でMT4とMT5のどちら向けのものなのかをしっかり確認する必要があります。

対応しているFX会社はMT4のほうが圧倒的に多い

まだまだ現役だけにMT4は対応しているFX会社がとても多く、この点においてもMT5を圧倒しています。

MT4、MT5ともに対応しているFX会社の大半は外資系で、MT5についてはすべて外資系です。それに対してMT4には、楽天証券など国内資本の会社も含まれています。

 

その一方でMT5はまだまだ対応しているFX会社が少数で、2024年時点で主要な会社は4社です。

今後この勢力図は変化していくと思われますが、依然としてMT4が圧倒的な勢力を誇っていることが、こうした点からも分かります。

MT4に対応しているFX会社一覧
●      楽天証券(楽天MT4)
●      OANDA証券
●      ゴールデンウェイ・ジャパン(FXTF MT4)
●      外為ファイネスト(MT4・ZERO)
●      FOREX.com(MT4口座)
●      FOREX EXCHANGE(俺のMT4)
●      デューカスコピー
●      Plus500JP(EZ MT4)
●      アヴァトレード・ジャパン(エキスパートコース)
※2024年4月時点
MT5に対応しているFX会社一覧
●      外為ファイネスト
●      OANDA証券
●      フィリップ証券(フィリップMT5)
●      アヴァトレード・ジャパン(プレミアムコース/プロフェッショナルコース)
※2024年4月時点

動作の鈍さを考慮したVPS選びが重要

動作の鈍さはMT4の構造的な弱点で、それが自動売買のパフォーマンスに影響を及ぼすこともあります。

自動売買のためにはMeta Trader を常時稼働させておく必要があることからVPS(仮想専用サーバー)を利用する人は多いと思いますが、MT4は動作が重いためVPS選びでもそのことを考慮する必要があります。

 

VPSのスペックは利用料金と比例する部分があるので、あまり価格重視で安いVPSにしてしまうと、ただでさえ動作が遅いMT4の動作がさらに遅くなってしまい、EAが本来のスペック通りに稼働できない恐れがあります。

 

MT4による自動売買をする際には、VPSのスペックが足を引っ張ってしまわないように注意しましょう。

スマホ版MT4とMT5の違い

MT4、MT5はいずれもパソコン向けのソフトであり、パソコン上で動作することが前提になっています。

しかしながらMT4、MT5にはスマホ版も用意されているので、ここではスマホ版についても両者の違いを解説します。

 

なお、スマホ版はMT4、MT5ともに自動売買の状況をチェックすることやチャート表示などの機能に限定されており、MT5にアップグレードされても「スマホだけで自動売買はできない」ということは変わりません。

MT5はチャート機能が強化

スマホ版MT5は同MT4と比べて、チャート機能が強化されています。

複数のチャートを同時に表示できるようになり、その境界線を自由に調節できます。これにより、見やすさや操作性も向上しています。

 

 

この例では、画面の上半分にボリンジャーバンド、下半分にRSIを表示しています。

左は上半分を大きめに、右は下半分を大きめに調節しました。スマホ版MT5ではスマホのタッチパネルでこうした操作ができるため使い勝手がよいと思います。

MT5は通貨ペアの情報がより詳細に

MT5では通貨ペアの情報がより詳細になっています。

一般の投資家にはあまり関係がないような情報も多いですが、付与スワップの日数表示など、いちいちFX会社のサイトまで見に行かなくても表示される点は便利です。

ワンクリック注文機能がある

スマホ版MT5には、ワンクリック注文機能があります。

ワンクリック注文を有効にしていると、チャート画面上部に「SELL」と「BUY」のボタンが表示されます。

このボタンをタップするだけで注文ができるため、スキャルピングなど細かい時間軸で注文を出したい際に便利です。

 

執筆者紹介

FX情報誌『外国為替』編集長

鹿内 武蔵

FX情報誌『外国為替』編集長 投資専門ライター&編集者集団、株式会社tcl代表取締役
FX情報誌『外国為替』編集長 投資専門ライター&編集者集団、株式会社tcl代表取締役

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