AMSER開発者林貴晴氏が教える|第11話:純益の重要性
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バックテストの結果には様々な情報が詰まっていますが、その中で最も重要な値は純益です。
なぜ、純益が最も重要かという理由は、トレードの最終目標が単純に純益だからです。
しかし、ただ純益を比較するだけでEAの性能はわかるでしょうか。
例えば同じ純益でも、初期証拠金が10,000円と1,000,000円ではまったく話が変わってきます。
このように単純な純益について掘り下げて書いていきたいと思います。
総利益・総損失
総利益はすべての勝った取引の合計金額、総損失はすべての負けた取引の合計金額になります。
総損失は必ずマイナスになりますので、純益=総利益+総損失となります。
また、プロフィットファクター(PF)はPF=総利益÷(-総損失)です。
純益は絶対的な利益を示しますが、PFはリスク(損失)に対する利益の比率を示すため、リスク調整後のパフォーマンスの指標として使うことができます。
純益は単純合計なため、1万円の純益を得るために2万円の総利益と―1万円の総損失の場合と、11万円の総利益と-10万円の総損失の場合、同じ結果になります。
PFの場合、前者は2÷1=2.0、後者は11÷10=1.1となり、リスクが考慮された結果になります。
総損失が小さいことはメンタル的にも資金的にも利点があるため、このケースの場合、同じ純益でもPFの高い前者の例の方がよいと言えます。
純益だけでなくPFも考慮することで、EAの性能をより多角的に評価できることがわかります。
総取引数・期待利得
総取引数はその試験が取引をした回数です。総取引数が多い場合、試験自体の信頼性の向上につながります。
また、総取引数を試験期間で割ることで、そのEAがどれくらい取引をするかを把握することができます。
一方、期待利得は1回の取引で平均いくらの利益が期待できるかという数字です。
純益=総取引数×期待利得になります。実際に計算をすると期待利得は少数第三位切り捨ての為に若干の誤差が出ます。
総取引数が多いことは前述のとおり試験の信頼性が上がると同時に、ドローダウンの改善期間が短いことを表します。
期待利得が高いということはスプレッド耐性が高いことになります。
同じ純益の場合、期待利得が高い場合、総取引数は少なくなります。
また、期待利得の高いEAはポジションを保有している時間が長い傾向があります。
また、取引毎に手数料がかかりますので、総取引数が多くなると支払う手数料も大きくなります。
バックテストの結果高い純益を出すEAであっても、その純益が実際の運用で得られるかどうかは重要な考慮事項です。
期待利得が高いEAほど実際に運用した時の誤差は少なくなる傾向があります。
また、総取引数の多いEAは高い勝率で小さく稼ぎ敗けるときは大き目になり、期待利得の高いEAは勝率は低いのですが、損小利大になります。
初期証拠金・最大ドローダウン
純益が同じ場合、初期証拠金が少ないほうが資金効率は良くなります。
一方、最大ドローダウンは最大の下落幅です。
最大ドローダウンが初期証拠金を上回る場合、本当に必要な初期証拠金は最大ドローダウンの金額以上になります。
また、実際の運用では予期せぬ事態に備えて、最大ドローダウンよりも多めの初期証拠金を用意することが賢明です。
大きなドローダウンからの回復には時間がかかります。
このため、ドローダウンを小さいEAを選択することが長期的な成功には重要です。
初期証拠金が少ないほど資金効率は良くなりますが、同時にレバレッジも高くなります。高レバレッジは高リターンの可能性がある一方で、高リスクも伴います。適切なレバレッジの設定は、トレーダーのリスク許容度に応じて決定する必要があります。
1ポジション、固定ロットのEAの場合、純益 ÷ 初期証拠金 ÷ 年数で年利を計算することができます。
複数ポジションもしくは複利など可変ロットの場合、年利の計算はややこしくなりますが、(純益 ÷ 初期証拠金)^(1/年数)-1 で計算できます。
複利のEAなどで1ポジションの計算で年利を表していることが多くありますので注意してください。
執筆者紹介
AMSER株式会社 代表取締役
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