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FXの自動売買と裁量取引の違いを解説

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自動売買とは?[3つの特徴] 

FXでは、手動で取引数量や注文レートを決めて取引を行う「裁量取引」のほかに、トレードの裁量要素を自動化させて取引を行う「自動売買」という取引方法があります。

・機械的な取引となる

・24時間取引可能

・EAやサーバーなどの設備投資の必要

機械的な取引となる

自動売買は、事前に決められたルールに基づいてプログラムが自動的に取引を続けていく取引方法です。

よって相場環境がどのような状況であっても、プログラムを手動で止めない限りルールに従い機械的な取引が行われます。

詳しくは後述しますが、機械的な取引となることによって、裁量取引ではできなかったことができるようになったり、逆に裁量取引には敵わないことが出てきたりと、裁量取引との違いが見られます。

機械的な取引となるため、売買ルールが相場状況にマッチすれば利益は自動的に積み上がる一方、相場と合わない場合は損失を積み上げます。

自動売買は損益状況や相場状況に関係なく、機械的な取引を繰り返します。ただし、経済指標の発表前後や朝晩などのスプレッド拡大時は、事前の設定で売買の回避が可能です。

24時間取引が可能

FXは基本的に平日24時間取引が可能です。

しかし裁量取引の場合、売買判断を行う人間が起きている時間に取引は限られるため、必然的に取引回数が限られます。

一方、自動売買はプログラム通りに自動的に売買が行われるため、取引時間内のすべてが取引機会となります。

仕事中でチャートを見られない日中や、就寝中の深夜など、裁量取引だと無理な時間帯も利益を狙えるわけです。

EAやサーバーなどの設備投資が必要

裁量取引は、FX会社が無料で提供している取引ツールを動かすPCかスマホがあれば取引を始められます。

一方、自動売買を始めるには、FX会社が提供しているサービスを利用するか、MT4(メタトレーダー4)という取引プラットフォームを用いる必要があり、裁量取引より一手間かかります。

特にMT4で自動売買を行う際は、EA(自動売買プログラム)の購入代金や24時間EAを動かすためのサーバー代などの設備投資が必要です。

プログラミングの知識があればEAの自作も可能ですが、ほとんどの人はEAサイトなどで購入することになるでしょう。

さらにEAを24時間動かすためには、別途外部サーバーと契約する必要があります。(自宅のPCの電源を終日つけっぱなしにしておく方法もありますが不都合が多いです)。

自動売買では、裁量取引には必要とされないEA購入代金やサーバー代などの設備投資が必要になるということは覚えておきましょう。

自動売買と裁量取引の違い、相違点

次に自動売買と裁量取引の相違点について見てみましょう。

両者の代表的な相違点は3点あります。

・【バックテスト】簡単なのは自動売買

・【メンタル面】負荷が低いのは自動売買

・【拘束時間】相場に向き合う時間は自動売買の方が短い

・【投資パフォーマンス】臨機応変な立ち回りができる裁量取引が上

【バックテスト】簡単なのは自動売買

自動売買は、ルールに基づいてエントリーから決済までが行われるため、どのような相場状況でも、同じ行動を繰り返します。

このため、バックテストが簡単にでき、結果もすぐに分かります。また、EA同士の比較も簡単です。

一方で裁量取引は、相場状況に応じた判断が入るため、機械的なバックテストが困難です。

過去の取引履歴に基づき勝率などを出すことはできますが、将来的に同じルールで取引できる保証はありません。よって勝率などを出しても、参考数字に留まります。

このためバックテストは、自動売買の方が簡単かつ有効性があるといえるでしょう。

【メンタル面】負荷が低いのは自動売買

裁量取引の大きなハードルは「損切り」でしょう。

損切りは自らの決断で資金を失う行為であり、粛々と損切りを行える人はなかなかいません。

「お金を失いたくない」「あともう少しで元に戻るかもしれない」といった気持ちが入り混じって、なかなか踏み切れないのが普通の感覚ではないでしょうか。

その点、自動売買は指定されたルールに基づき粛々と損切りが行われます。

そこに人間のメンタルが介在する余地はありません。

また保有ポジションの利益が伸びた時も、裁量取引ではトレーダーのメンタルが問われます。

利益確定を行うべきか、利益を伸ばすべきか、相場が動くたびに悩み、売買ルールで決めたレートよりも遥か手前で決済してしまう(チキン利食い)のは誰もが通る道です。

一方、自動売買は利益確定もルール通り行われます。

裁量取引のメンタル面の負荷の高さに比べると、どのような時でもルール通りに取引が行われる自動売買のメンタル面の負荷は低いといえます。

【拘束時間】相場に向き合う時間は自動売買の方が短い

自動売買はEAがセットされると、EAはルールに基づいて自動的に取引を始めます。

よって、EAが持つポジションを見守る必要は基本的にありません。大型の指標発表前に、手動でEAをストップするケースもありますが、指標発表に関係なくEAを動かし続ける方も多くいます。

指標前後のEA稼働の議論はあるものの、EAは一度稼働を始めたら、相場を見る必要はありません。相場を見るのは、EAの動作確認など最低限で大丈夫です。

一方で裁量取引は、エントリーのチャンスをうかがう、エントリー後は決済や損切りのためにポジション状況を見守るなど、相場に向き合う時間の確保が必要不可欠です。

よって相場に向き合う時間は、裁量取引に比べ自動売買の方が大幅に短いといえるでしょう。

【投資パフォーマンス】臨機応変な立ち回りができる裁量取引が上

自動売買はどのような相場状況であっても、機械的な売買がなされます。一方、裁量取引は相場状況に応じて柔軟な取引判断を行えます。

ファンダメンタルズの判断から予想以上にトレンドが伸びると判断すれば、持っているポジションを維持して大きな利益を得ることも可能です。

また、保有するポジションに対し相場が逆行した場合、相場のスピード状況などから早めに損切りを行い、傷を浅くするなどの対応もできます。

臨機応変の立ち回りを行うことで、裁量取引は自動売買に比べはるかに高いパフォーマンスを上げられる可能性があります(最適な立ち回りができればですが)。

裁量取引は自動売買に比べメンタル面の負荷が裁量取引が高いものの、高いメンタル負荷の報酬として高い利益を上げられる可能性を秘めている、と考えることもできます。

自動売買と裁量取引の共通点

自動売買と裁量取引の違いについて解説してきましたが、そもそもどちらもFXの取引方法です。

FXで利益を出し続けるための普遍的な考え方という点では、いくつもの共通点があります。

ここからは超重要な共通点を3つ紹介します。

・手法に優位性がないと勝てない

・資金管理が非常に重要

・損切りは必須

・スプレッドなどのコスト面

手法に優位性がないと勝てない

自動売買も裁量取引も取引手法に優位性がなければ一時的な利益は上げられたとしても、継続的に利益を上げることはできません。

「なんとなく上がるかもしれない」といった感覚、直感だけで裁量取引を続けていったらどうなるのか想像できるかと思います。

また、バックテストで一年後に資金が尽きている結果のEAで自動売買取引をやろうと思いませんよね。

どちらの取引方法にせよ、FXで稼ぐには優位性のある手法が必要なのです。

資金管理が非常に重要

勝ったり負けたりを繰り返して資金を増やしていくのが、FXの基本的な考え方です。

そのため勝ち方だけではなく、いかに損失を限定させるかを考える…それが資金管理になります。

口座資金に対してどの程度までの損失額を許容するか決めておく「◯%ルール」が有名です。

資金管理は自動売買と裁量取引のどちらにおいても取り入れられるものなので、FXをするのであればその重要性を理解しておいてください。

損切りは必須

FXでは損切りの先送りが、大きな損失につながる傾向にあります。

それは自動売買でも裁量取引でも変わりません。

ただしほとんどの自動売買は「エントリー→利益確定」「エントリー→損切り」がルール化されているため、損切りされずに損失が拡大していくことはありません。

一方、裁量取引の場合はトレーダーが決断しなくてはいけないため、損切りを先延ばしにして取り返しのつかない損失を出してしまうこともあり得ます。

裁量取引で損切りするのが苦手でどんなに対策を立ててもうまくいかない人は、自動売買による取引を検討してみるとよいでしょう。

スプレッドなどのコスト面

FXにおけるスプレッドは取引コストに該当します。

取引回数が増えるほどスプレッドの影響を受けやすくなる点は、自動売買も裁量取引も変わりません。

ただ、裁量取引で使う取引口座よりも、MT4口座のスプレッドは広い傾向にありますし、FX会社の自動売買サービスでは別途取引手数料を徴収しているところがあるため、自動売買の方がより注意を払うべきでしょう。

楽天FX口座と楽天MT4口座のスプレッド比較(例外あり)

楽天FX口座楽天MT4
米ドル/円0.2銭0.5銭
ユーロ/円0.5銭1.1銭
ポンド/円0.9銭2.0銭
豪ドル/円0.6銭1.2銭
ユーロ/米ドル0.4pips0.6pips

MT4口座は裁量口座の2倍近くの取引コストがかかっていることがわかる

また、日本時間の早朝のスプレッド拡大や相場急変時のスリッページ発生も、取引コストに直結します。

裁量取引と自動売買のいずれも、スプレッドの広さ=取引コストの壁、に阻まれます。

裁量取引の経験は自動売買でも活かせる

自動売買と裁量取引には類似点もあるため、両者は完全に別々に存在している訳ではありません。

裁量取引に取り組んだ後に自動売買に取り組む場合、過去の裁量取引の経験は自動売買にも活かせます。

大きな指標発表前後はポジションを持たない、資金管理はしっかり行うなど、裁量取引の際に得た知見は自動売買を始める際の大きな優位点となります。

時間的制約などの事情から、裁量取引から自動売買に方向性を変える方も少なくありません。

裁量取引の経験は自動売買にも活用できるため、その経験は無駄にはならないでしょう。

執筆者紹介

FX情報誌『外国為替』編集長

鹿内 武蔵

FX情報誌『外国為替』編集長 投資専門ライター&編集者集団、株式会社tcl代表取締役
FX情報誌『外国為替』編集長 投資専門ライター&編集者集団、株式会社tcl代表取締役

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