国内でMT4が使えるFX会社のスキャルピングに対するスタンスについて
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スキャルピングとは
スキャルピングとは、数秒から数分の間に売買を行い、小さな利益を積み重ねる短期取引手法です。
1回のトレードで狙う値幅は数pipsと非常に小さく、高頻度の取引が特徴です。
1回の取引で得られる値幅は大きくないものの、何度も取引を繰り返すことで複利効果が得られ、効率のよい資産増加が期待できます。
スキャルピングのメリット
スキャルピングのメリットとしては、主に以下の3点があげられます。
- 短期間で勝負が決まる
- 相場の大きな流れに左右されず取引できる
- 資金効率がよい
①短期間で勝負が決まる
スキャルピングは数pipsの値幅を狙い取引します。
このため、ポジションの保有時間は非常に短く、短期勝負となります。短期間で勝負が決まるので、ポジションを長く持ったために含み損が徐々に広がるという状態を避けやすいメリットがあります。
②相場の大きな流れに左右されず取引できる
スキャルピングは目先の値動きを収益に変える取引手法です。
そのため、長期のトレンドをそれほど気にせずに取引ができます。目先の値動きの把握に注力するだけで、資産を増加させられる可能性があります。
③資金効率がよい
スキャルピングは獲得できる値幅が狭いものの、日に何度も取引します。大きなロットで取引して連勝すれば効率的に資産を増やせます。
短期間で複数回の取引を行うスキャルピングは、資金効率のよい取引手法といえます。
スキャルピングのデメリット
一方、スキャルピングのデメリットとしては主に以下の3点があげられます。
- スプレッドの影響を受けやすい
- 取引環境の重要性
- 精神的な負担が大きい
①スプレッドの影響を受けやすい
スキャルピングは取引を繰り返すため、スプレッドの負担が重くなります。
スプレッドが広いFX業者や通貨ペアの場合、取引で勝っても結果的に資産が増えない可能性もあります。
スキャルピングを行う際はスプレッドの狭い業者と通貨ペアの選択が欠かせません。
②取引環境の重要性
スキャルピングは瞬間的に注文を出すため、取引環境も重要です。
チャンスで素早く取引しやすい取引アプリ、切断がないインターネット環境など、取引環境の整備も必要です。
③精神的な負担が大きい
FXの成否はメンタルに大きく左右されます。スキャルピングは日に何度も取引できるため、根拠ない取引を続けてしまうリスクがあります。
また、チャンスが来るまでチャートを集中して見続ける必要もあり、精神面の負担も重いです。
FXはメンタルスポーツと呼ばれることもありますが、スキャルピングはその中でも特に精神的な負担が大きい取引です。
FX事業者から見たスキャルピング
FX会社にとってスキャルピングは、歓迎できる部分と歓迎できない部分がある取引スタイルです。
FX会社がスキャルピングを歓迎できない理由を知るには、FXの取引の仕組みを知る必要があります。
FX取引の仕組み
株式投資は東京証券取引所など、取引が行われている市場(証券取引所)が実際にあります。
投資家の注文を証券取引所に仲介するのが証券会社の役割であり、顧客は証券会社と取引しているわけではありません。
一方、FXは相対取引の場合が多いです。
相対取引とは、金融商品取引所などを通さずに、トレーダーとFX会社が直接取引をすることです。
FX会社は投資家の注文をそのまま受けると、自己のポジションを持ち、値動きのリスクを負うことになります。
このため、FX会社は投資家の注文が入るとすぐに銀行や証券会社に対し投資家と同じ注文を行い、リスクのヘッジが行われます(カバー取引と呼ばれます)。
このようにFXは、投資家が取引を行うとFX会社内で様々な対応や手続きが行われます。
FXの仕組みから考えるスキャルピングについて
顧客とFX会社が直接取引を行うFXという仕組みを踏まえて、スキャルピングについて考えてみましょう。
スキャルピングは数秒から数分に行われる高速取引です。
高速取引であっても、FX会社が注文を受ける→カバー取引を行うという一連の流れは変わりません。
そのため、短期取引の場合、一連の流れが間に合わないリスクがあります。
また、取引数量が多くなれば、同じ流れでも対応しきれない可能性が高まります。
現在、これら処理の多くはシステム化されており、スキャルピングはFX会社にとってシステム負担の高い取引です。
取引時間が短くなればなるほど、取引数量が多くなればなるほど、FX会社のシステムへの負荷が高くなります。
スキャルピングは、高頻度の取引による取引手数料の拡大可能性という観点ではFX会社にとって歓迎できる取引です。
しかし、システムへの負荷という観点では、手放しで歓迎できる取引ではありません。
実際、スキャルピングを禁止にしているFX会社もあります。
スキャルピングを行う際は、FX会社側の事情とFXの仕組みも理解することで、利用するFX会社の選定を進めやすくなります。
MT4が利用できる国内FX会社のスキャルピング対応について
国内FX会社においてMT4が利用できる以下の会社について、スキャルピングについてのスタンスを紹介します。
- 楽天証券
- OANDA証券
- FXTF
- 外為ファイネスト
楽天証券
楽天証券では、楽天FX取引規定の第21条契約の解除部分に以下の記載があります。
「(16)取引の方法の如何にかかわらず、当社が、短時間における連続した取引、インターバンク市場の混乱を招く取引、当社のカバー取引に影響を及ぼす取引、または、過度な取引等不適切な取引であると判断したとき又はその虞があるとき」
楽天FXは明確にスキャルピングを禁止する旨の記載はありませんが、「短時間における連続した取引」の短期間がどの程度の時間幅かは分かりません。
上記の記載を考慮すると、スキャルピングによる口座凍結などのリスクが否定できないと考えられます。
OANDA証券
OANDA証券はQ&Aサイトでスキャルピングへのスタンスを明らかにしています。
「Q.スキャルピングは禁止ですか?」
「A. 取引間隔が数秒程度開くスキャルピングは禁止ではありません。ただし、弊社にてお客様の取引手法に問題があると判断した場合や弊社のカバー先がお客様の取引のカバーを継続することが難しいと判断した場合には、取引をご遠慮いただく場合があります。」
OANDA証券では取引時間が数秒開くスキャルピングは禁止ではないものの、OANDA側の判断で取引ができなくなるリスク=口座凍結リスクがあります。
若干長めのスキャルピングならリスクは少ない可能性がありますが、EAで数秒のスキャルピングを機械的に繰り返すのは一定のリスクがあると考えられます。
FXTF
FXTFも楽天証券と同様に、スキャルピングについては取引規定で記載があります。
「第14条(本システムの利用の制限又は停止)
次の各号に該当する場合、当社はお客様の本サービスの利用に対し、事前の通知なく、全部又は一部制限、停止を行う場合があります。
(3)数秒間隔で注文を繰り返し発注する行為を行った場合」
FXTFは数秒間隔の取引に否定的なスタンスです。よって、数秒間隔の短い期間に取引を繰り返すスキャルピングはリスクが高いと考えられます。
ただし、分単位の取引について制限はなされておらず、OANDA証券と同様に若干長めのスキャルピングの利用ならリスクが低いと言えます。
外為ファイネスト
外為ファイネストは「MT4の特徴」の紹介部分で、スキャルピングOK、と記載があります。よってスキャルピング自体は認められています。
スキャルピングの定義についての解説はないものの、今回取り上げたFX会社の中では唯一”スキャルピングOKと明言しています。
国内FX会社のMT4でスキャルピングを行う際、同社は有力な選択肢になり得ます。
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