AIを使ったFX自動売買とは?おすすめサービスと詐欺の見抜き方を解説!
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- 1. AIを活用したFX自動売買の現状
- 2. AIを活用したFX自動売買とは?
- - AIはどうやって為替相場を予測しているのか?
- - AI自動売買とEA(エキスパートアドバイザー)の違い
- 3. AI型自動売買の注意点
- - 学習内容の質と量で精度が変わる
- - 市場のランダム性とAIの適応力
- - メンタルの影響を完全には排除できない
- 4. AI型自動売買の現実的な選択肢
- - 1.金融商品取引業者が提供しているサービス
- - 2.AI搭載EA(Expert Advisor)
- 5. EAによる自動売買運用の始め方【初心者向け】
- - 必要な準備(口座開設・資金・EA選定)
- 6. AIを使うFXの自動売買に関するQ&A
- - AIを使う自動売買って本当に稼げる?
- - なぜ「AI自動売買は詐欺」と言われるのか?
AIを活用したFX自動売買の現状
近年、AI技術の進展により金融市場においてもAIを活用した自動売買(アルゴリズム取引)が行われています。
大手機関投資家が行っているトレードはほとんどがアルゴリズム取引といわれており、為替スポット取引の75%がアルゴリズム取引だというニュースも出ています。
一方、個人投資家が利用可能なAIによる自動売買サービスはまだ限られており、その多くは実験的な段階といえるかもしれません。
例えば、インヴァスト証券が2019年から提供していた「マイメイト」は、エージェントと呼ばれるAIプログラムが市場データを学習し、自動で取引を行うサービスとして注目されました。
サービス開始から様々なエージェントが記録した好成績な収支レポートを発表していましたが、2025年3月にサービスの提供を終了しています。
自動売買ではありませんが、他にもみんなのFXが提供していたテキストマイニングによるシグナル配信サービスなど、さまざまなAIを活用したサービスがありましたが、現在はほとんどがサービスを終了しています。
2020年以前にFX会社から登場したAIを活かしたサービスは軒並み終了し、1つのサイクルが終わった印象ですが、2022年11月にChatGPTが登場してから世間が生成AIブームに沸く中で、FX業界にも個人投資家が利用できる新たなAIを活用したサービスやEAが誕生してきました。
AIを活用したFX自動売買とは?
AIやFXの自動売買の知識がないと、今までの「自動売買」と「AIを活用した自動売買」の違いがわかりにくいかと思います。
そこで、まずはその違いがわかるように、AIがどのように相場を予測し取引戦略を作り上げていくのかを知っておきましょう。
AIはどうやって為替相場を予測しているのか?
簡単にいうと、過去の為替レートのデータや為替相場の変動要因となるグローバルな情報(経済指標や世界の政治経済、為替以外のマーケット情報など)をAIに学ばせて、トレードで優位性のあるパターンを導き出していきます。
一見するとプロのアナリストがやっていることと変わりませんが、AIは過去の為替レートの分析をティック単位で行うことができ、さらにリアルタイムで流れてくる為替レートも学習材料にしていきます。
圧倒的なデータを瞬時に分析していくため、人間では見逃しがちな微細な相場の傾向をAIは捉えることができるといわれています。
AI自動売買とEA(エキスパートアドバイザー)の違い
FXの自動売買というとEAが有名です。すでにAIを取り入れたEAも出回っていますが、「AIを活用していない従来のEA」と「AIを活用した自動売買」にはどんな違いがあるのでしょうか?
一般的な従来型のEAは、開発者がプログラミングしたトレード戦略にもとづいて売買を自動的に繰り返していきます。
トレード戦略には複数のインジケーターを組み合わせたテクニカル分析に頼ったものや、時間や季節性のアノマリーを根拠としたものなどがありますが、どんな相場になってもトレード戦略そのものを変えることはできません
(利用者の手によってEAの稼働のオン・オフや、インジケーターのパラメーターを調整することは可能です)。
一方、AI型の自動売買では刻々と変化する環境に対応して自動的にアルゴリズムを再構築できるという特徴があります。
例えば、突発的なボラティリティの急変やファンダメンタル要因の変化にも即時対応し、過去の成功パターンを継承しながら新たなトレード戦略の再構築を目指していきます。これにより、相場の変化に対する順応性と持続的なパフォーマンス向上が期待されます。
AI型自動売買の注意点
話を聞く限りAIを活用した自動売買は魅力的なトレード手法に見えるかと思いますが、メリットばかりではなくデメリットも当然あります。
利用を検討する際は、デメリットを考慮した上で判断しましょう。
学習内容の質と量で精度が変わる
AIは学習させるデータの質と量によって未来を予測する精度が変わってきます。
また、過去のデータを学習させすぎる(過学習)と、逆に予測精度が落ちてしまうケースもあります。
AI型自動売買を利用できるサービスやAIを取り入れたEAなどの利用を検討する際には、それらのパフォーマンス(過去相場にもとづいた取引結果)を判断材料にするかと思いますが、サービスやEAの背景(AIにどのような学習をさせ続けているのか)までチェックしておきたいところです。
なお、AI搭載をアピールして販売、配布しているEAの中には、ChatGPTなどの生成AIにプログラムを作成させただけのものもあります。
そのようなEAは、プログラムのコードを書いたのがEA開発者(プログラマー)からChatGPTに置き変わっただけですので、一重に「AIを活用した自動売買」といっても様々な種類があることは把握しておきましょう。
市場のランダム性とAIの適応力
為替市場は多くの変動要因が複雑に絡み合い、ランダムな動きがしばしば発生します。
AIはパターンを学習するものの、突発的な政策変更や戦争・災害などに完全に対応しきれないケースがあります。AIの限界を理解し、過信しない姿勢が重要です。
ちなみに、薄商いの時期にしばしば発生するフラッシュクラッシュ(数年に一度レベルの暴落が一瞬で発生する状況)は、AIを活用した自動売買が原因の一つといわれています。
機関投資家が利用している高精度かつ超高速なAIアルゴリズムのトレード戦略は似たものになりがちで、同じ変動要因に一斉に反応してしまうと、大口売りの連鎖が発生してしまうそうです。
メンタルの影響を完全には排除できない
FXで成功した億トレーダーに話を聞くと、成功のカギを握るのは「メンタル」だと多くの人がいいます。
「その日のうちに損失を取り返したくてルール以上のロットサイズにしてしまう」「含み益を失うのが怖くなってルールより早く利食いしてしまう」など、ルール通りに振る舞うことの難しさをみなさんは知っているはずです。
取引を自動的に行ってくれる自動売買なら、この「メンタル問題」を解決してくれそうに思えますが、実は必ずしも解決できるわけではありません。
最終的な判断や設定を行うのは人間です。
「パフォーマンスの落ち込みに我慢ができなくなって稼働を止める」、「ポジションを保有し続けるのがつらくなり、取引に手動で介入する」など、感情的な判断が入り込んでしまう余地があることは、リスクの一つとして覚えておきたいところです。
AI型自動売買の現実的な選択肢
機関投資家が利用しているようなAIを活用した自動売買は無理として、現状で個人投資家が利用できるAI型自動売買にはどのようなものがあるのでしょうか?
簡単に2つのジャンルに分類してみました。
1.金融商品取引業者が提供しているサービス
金融商品取引業者として金融庁に申請・登録している会社が提供しているサービスです。
裁量取引でFXの経験がある方ならば、簡単に始められると思います。
なお、無登録で金融商品取引業を行っている「無登録業者」を利用するのはおすすめしません。
無登録業者については金融庁も注意喚起をしています。
QUOREA FX(クオレアFX)

AIを活用した自動売買ロボットを利用できる投資プラットフォーム。
投資家とFX会社の間に入る位置付けで、APIでFX会社と連携させるとそこの取引口座で自動売買ができるようになります。
対応している口座は松井証券、フィリップ証券、岡三オンラインです(2024年5月25日時点)。
QUOREAの利用者が開発したロボットの成績をAIが判定している点がポイント。この「AI判定値」を参考にロボットを選ぶだけで始められるので、FX未経験でも手軽に利用できるでしょう。
公式サイト
GPT-Trade

こちらはトレードアドバイザリーテクノロジーズが開発した投資助言サービスで、AIを活用して独自に開発した取引アルゴリズムが利用者の投資スタイルに応じた売買シグナルを配信していきます
FXの場合、APIのサービスを提供しているGMOコイン、FOREX.comと連携しており、GPT-TradeとFX会社の両方に登録すればAIを活用したFXの自動売買を行えるようになります。(楽天ウォレットと接続して暗号資産証拠金取引の自動売買も可能です)
公式サイト
2.AI搭載EA(Expert Advisor)
今後増えてくることが見込まれるAI搭載型のEA(Expert Advisor)は、過去の膨大な為替市場のデータを学習していくことで、従来のルールベースの自動売買では実現できなかった複雑なトレード戦略で取引ができるといわれています。
トレード戦略に必要なデータ(チャートや経済指標情報など)をMT5から収集して生成AI(OpenAIなど)に送信、それをもとに生成AIが適切な取引を行います。
MetaTrader環境上のEA自体には学習機能は含まれておらず、AIモデルの学習は外部で行い、その結果をEAに反映させるのが一般的です。
EAによる自動売買運用の始め方【初心者向け】
ここまでAIを活用したFXの自動売買について解説してきましたが、利用できるAI型自動売買サービス(EA含む)はそれほど見つからないのが現状です。
もし、AIへの強いこだわりがなく、自動売買を手軽に使えるサービス・方法でいいのであれば選択肢は一気に広がります。
一つの案として、ここではEAによる自動売買の始め方を紹介します。従来のEAを利用しつつEA運用のノウハウを学び、慣れてきてからAI型のEAに挑戦していくのもいいですね。
必要な準備(口座開設・資金・EA選定)
- FX会社の選定と口座開設
- 資金の入金(リスク許容度に応じた初期資金)
- EAの導入・設定(公式サイトまたは提携先から)
EAによる自動売買に必要なものは主に取引口座、資金、EAの3つです。EAはMetaTrader(MT4・MT5)で稼働するプログラムなので、MT4かMT5に対応している取引口座を選びましょう。
口座選びは「FX自動売買を提供しているFX会社を比較! おすすめの自動売買ツールはここだ!」の記事が参考になります。
必要な資金に関しては稼働するEAの内容やどのくらい利益を出したいのかで変わってきますが、VPSの費用やEAの購入代金も含めると、最低でも50〜100万円程度は用意しておきたいところです。
EAの資金については「FXの自動売買(EA)を動かすには証拠金はどのくらい必要?」に詳しく書かれているのであわせてご覧ください。
EAの導入・設定方法は、Windows PCの基本的な操作方法がわかればそれほど難しくありません。詳しくは「MT4を利用した自動売買の導入と設定について(設定編)」をご覧ください。
AIを使うFXの自動売買に関するQ&A
AIを活用したFXの自動売買でよく聞かれる疑問への回答をまとめました。
AIを使う自動売買って本当に稼げる?
AIによる自動売買は、過去の為替相場データ(レートや高値、安値など)や経済指標などの膨大な情報を解析し、相場環境に応じて判断を下すことができます。このため、理論的には相場変化への適応力が高く、高度な戦略構築が可能となるのですが、「稼げるか」と問われると答えは「条件次第」となります。
いくらAIのアルゴリズムが優れていても、市場は常に不確実で、予測不能なイベントや突発的な値動き(地政学リスク、急な政策変更など)が起きれば損失は避けられません。
AIの自動売買を過信せずに、リスク管理を十分に行い、運用結果に関しては長期的な目線で見るのがよいでしょう。
なぜ「AI自動売買は詐欺」と言われるのか?
近年話題になっている「SNS型投資詐欺」でネタとして使われることが増えていることが、そのような風潮になっているのかと思われます。
ニュースで取り上げられることも多いため「AI自動売買=詐欺」と認識してしまっている方は少なくないかもしれませんが、AIを活用した自動売買そのものは詐欺ではありません。
実際にあった詐欺の事例は新聞やネットニュース、金融庁や消費者庁の公式サイトで閲覧できるので、甘い話に心が動いてしまったら、まずは事例を見て「その話に詐欺事例と似ているところがないか」チェックしてみてください。
ちょっとでも似ているところがあったら詐欺の可能性が高いので、話に乗るのはやめましょう。
大切な資金が盗まれてしまわないよう、甘い言葉に乗らないことが重要です。
以下は投資詐欺の一例です。
【SNS投資詐欺「被害者の告白」】「AIを使ったFX自動売買」の触れ込みを信じて1250万円の詐欺被害に遭った40代男性 「子供の私立進学も諦める羽目に…」
https://www.moneypost.jp/1219051
「AIが自動で良い株を選んで売買してくれる」とメッセージ、口座に振り込み10回…1285万円詐欺被害
https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20241113-OYTNT50040/
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