AMSER開発者林貴晴氏が教える|第19話:過去データから見るGBPJPY

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為替市場の歴史は長く、その中で英国とその植民地は大きな役割を果たしてきました。

かつて英国は広大な植民地を持つ大英帝国として、世界の貿易や金融の中心に位置し、イギリスポンドは国際通貨として強く機能していました。

多くの貿易や金融取引がポンドを基軸に行われ、英国とその植民地との経済的な結びつきが深く、ポンドは信頼される通貨としての地位を確立していたのです。

 

また、英国は金融市場の発展にも大きく貢献し、ロンドンは長年にわたり世界的な金融センターとして機能しました。

この歴史的背景を踏まえ、ポンドは為替市場の通貨ペアの中でも重要な位置を占め、特に日本円との通貨ペアGBP/JPYは現在でも多くの注目を集めています。

本記事では、GBP/JPYの過去データに基づいた動きについて詳しく解説します。

通貨ペア表記について

通貨ペアの表記において、イギリスポンドが優先される理由は、英国が長年にわたり貿易と金融の中心地であったからです。

そのため、ポンドは国際取引での基軸通貨として重要な位置を占めていました。また、英国の旧植民地通貨もポンドに次いで優先的に表記されました。

 

ユーロが導入された後は、ユーロが左側にくるルールが適用され、現在の通貨ペア表記では、ユーロ、ポンド、旧英国植民地通貨、ヨーロッパ通貨、その他の通貨、そして最後に日本円の順に優先されています。

ポンドのボラティリティ

ポンドはその高いボラティリティ(価格変動の大きさ)で知られており、特にGBP/JPYは他の通貨ペアと比べて値動きが大きいのが特徴です。

具体的なデータとして、GBP/JPY、USD/JPY、EUR/JPYの1日の価格変動を比較すると、以下のようになります。

1日の価格変動
 GBPJPYUSDJPYEURJPY
平均額1.871.071.34
平均%1.12%0.97%1.04%

 

GBP/JPYの価格変動額はUSD/JPYの約1.7倍、EUR/JPYの約1.4倍に達しており、価格変動率(%)でもGBP/JPYは他の通貨ペアより8%~15%ほど多く動いています。

ボラティリティが高い通貨ペアは、短期間で大きな利益を得る可能性がある一方で、リスクも増大するため、リスク管理が非常に重要です。

特に、自動売買システム(EA)を活用する場合には、GBP/JPYのような高ボラティリティに適したEAを選ぶことが望ましいでしょう。

1日の平均的な動き

GBP/JPYの1日平均的な動きを時間帯別に見ていきます。

0時~4時

ポンドは大きく上昇する傾向にあります。この時間帯はロンドン市場が終了し、ニューヨーク市場が閉まるまでの間にあたります。

5時

ニューヨーク市場のクローズの影響でポンドが一時的に下落します。市場のポジション調整や利益確定の売りが行われやすく、流動性が低下するため、小規模な取引でも相場が動きやすくなる時間帯です。

6時~8時

再びポンドが上昇し始めます。この動きは、オセアニア市場(英国の旧植民地)や東京市場の開場の影響が複合的に作用していると考えられます。

9時~15時

東京市場の影響が強く、円高が目立つ時間帯です。

16時以降

ロンドン市場が再開すると、ポンドが再び強くなり、上昇の流れが見られます。

19時~20時以降

ニューヨーク市場やアメリカの指標発表、ロンドンフィックスなど多くのイベントの影響を受けやすく、ポンドが大きく変動する時間帯です。

 

1か月の平均的な動き

GBP/JPYの月間の平均的な動きを1993年4月から2024年10月までの日足データに基づき、±3σの極端な値を除外した分析結果を紹介します。

月初(1日~10日)

不安定な動きが目立ちます。特に7日や9日には円高が見られやすく、市場のポジション調整や月初の流動性の低さが影響していると考えられます。

中旬(11日~21日)

15日を除き、比較的安定してポンドが強くなる傾向が見られます。特に11日から13日や20日付近では、ポンド高が顕著です。

15日

この日に限り、円高の傾向があります。日本の資金決済のタイミングが影響している可能性があります。

月末(26日~31日)

再びポンドが強くなる日が多く、28日から31日にかけては、月末のポジション調整が影響し、市場の流動性が高まるため、ポンド高が続く傾向があります。

 

 

 

ポンド円(GBP/JPY)は長い歴史と国際市場における影響力を背景に、他の通貨ペアとは異なる独自の動きを見せる通貨ペアです。

ボラティリティの高さから、1日や月ごとの変動パターンには時間帯や市場の特性が反映されています。こうしたデータに基づいて市場の動きを理解し、今後の投資戦略やリスク管理に役立てていただければ幸いです。

執筆者紹介

AMSER株式会社 代表取締役

林 貴晴

S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務
S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務

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