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AMSER開発者林貴晴氏が教える|第15話:レバレッジの正しい理解

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FX(外国為替証拠金取引)やCFD(差金決済取引)の大きな特徴は「レバレッジ」です。

この仕組みにより、少ない資金で多額の取引を行えるようになります。

しかし、多くの初心者が誤解しやすい点として、ポジションを保有するために最初に必要となる「必要証拠金」にはレバレッジが適用されますが、含み損益にはレバレッジが適用されません。

今回は、レバレッジの仕組みやその影響、そして適切な資金管理の重要性について解説します。

レバレッジとは

レバレッジとは、必要な証拠金を少なくすることで、より大きな取引を可能にする仕組みです。

たとえば、1ロット(100,000通貨単位)の取引に対してレバレッジが10倍の場合、取引対象は100,000通貨ですが、証拠金としてはその10分の1、すなわち10,000通貨分で済みます。

これにより、実際の資金よりも大きな取引を行うことが可能になり、価格変動の影響を大きくすることができます。

証拠金と資金管理

レバレッジ取引を行う際に必要な証拠金は、ポジションを保有するのに必要な必要証拠金に、現在の含み損益を加えた合計額です。

ポジションを保有するためにはこの合計額が必要となり、もし不足するとポジションの強制決済が行われる可能性があります。

 

含み損益はポジションの実際の価格変動を反映し、レバレッジが適用されているかどうかに関係なく変動します。

レバレッジが高いほど、資金に対する損益の変動率が大きくなります。

たとえば、レバレッジ1倍で100万円の取引を行い5%の価格変動があれば、損益は5万円ですが、レバレッジ25倍の場合、同じ5%の価格変動で125万円の損益が発生します。

レバレッジの違い

FX取引では、取引する通貨ペアによって適用されるレバレッジが異なることがあります。

これは通貨ペアごとの流動性やボラティリティ(価格変動の大きさ)によるものです。

たとえば、USD/JPYEUR/USDなどのメジャー通貨ペアは流動性が高いため、一般的に高いレバレッジが適用されます。

一方、USD/TRYUSD/ZARなどのマイナー通貨ペアは流動性が低く、価格の変動も大きいため、リスクを抑えるために低めのレバレッジが設定されることがあります。

 

また、個人投資家と法人投資家では適用されるレバレッジが異なります。

個人投資家の場合、日本の規制により最大25倍のレバレッジが一般的ですが、法人投資家の場合は市場の状況に応じて50倍から100倍のレバレッジが適用されることもあります。

最近では法人設立の手続きが以前よりも簡単になっており、資金管理に自信がある中級者以上の投資家は、法人口座の開設を検討する価値があります。

レバレッジと心理的影響

レバレッジは投資家の心理にも大きな影響を与えます。

高いレバレッジを使うと、市場の小さな動きでも大きな利益や損失が発生するため、精神的なストレスが増します。

このストレスが原因で冷静な判断ができなくなり、感情的な取引をしてしまうことがあります。

 

これを避けるためには、取引前に明確な計画を立て、資金管理を徹底することが重要です。

経験が浅いうちは、低いレバレッジから取引を始め、徐々に自分のリスク許容度や心理的な影響を把握しながらレバレッジを調整していくことが賢明です。

証拠金の管理

レバレッジ取引において証拠金管理は非常に重要です。

特に、複数ポジションを保有するEA(自動売買システム)は資金管理が複雑になりがちです。

そのため、初心者や中級者には、1つのポジションのみを保有するEAを利用することで資金管理をシンプルにし、リスクの把握がしやすくなるため、適切なリスク管理が可能になります。

 

一般的に、必要証拠金は以下の式で計算されます。

 

必要証拠金 1ロット(100,000通貨)×通貨レート÷レバレッジ

さらに、最大ドローダウン(DD)を加味し、余裕を持った資金を準備することが推奨されます。

レバレッジのメリットとデメリット

メリット

レバレッジのメリットとしては、少額の資金で大きな取引ができ、短期トレードにも有利である点が挙げられます。

また、価格変動が小さい通貨ペアでも利益を得やすくなります。

デメリット

デメリットとしては損失が拡大しやすく、証拠金維持率が急激に低下するリスクやロスカット(強制決済)の可能性が高まることがあります。

資金管理の重要性

 

適切な資金管理は、FX取引において成功の鍵です。

FX業者ごとに設定されている証拠金維持率を把握し、自分の取引スタイルに合った業者を選ぶことが重要です。

また、1回の取引で失ってもよい金額を事前に決め、それを超えないように注意しましょう。

資金管理をさらに強化するためには、リスクを分散させることが重要です。

例えば、複数の通貨ペアで取引を行うことや、異なる戦略を持つ複数のEAを併用することで、特定の市場リスクに対する依存を軽減できます。

まとめ

レバレッジは強力なツールですが、慎重に使用しなければ大きなリスクを伴います。

特に初心者は低レバレッジから始め、1ポジションのEAを活用するなどして、資金管理を徹底することが重要です。

必要証拠金に余裕を持たせ、最大ドローダウンを考慮した資金を準備することで、安全かつ効果的な取引が可能となります。

慎重な資金管理と適切なレバレッジの使用により、FX取引での成功率を高めることができるでしょう。

執筆者紹介

AMSER株式会社 代表取締役

林 貴晴

S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務
S&P500上場IQVIAやFTSE100上場のGSKなど、外資系製薬会社で活動後 投資系企業の株式会社ゴゴジャンで自動売買ソフトの開発能力とマーケティング手腕を評価され部長に抜擢、 その後複数社で役員を兼務

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