FX自動売買を稼働する前に行う検証の重要性
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稼働前の検証重要性
今回は実際に稼働前の検証に至るプロセスとして稼働前の検証重要性について述べたいと思います。

前回、前々回とお伝えした記事の内容を踏まえクリアした上で、
初めてフォワードテストを行う段階に進んで良いと言えるでしょう。
「FX 自動売買シミュレーションでリスクを最小限に」はこちら
「FX自動売買を運用する上で勝率はどれくらいが最適か」はこちら
単にバックテストで成績が良かったからといった理由だけでお金を投入し稼働させるのは禁物です。
なぜ?と思われる方が多いと思いますが、バックテスト通りの結果になる事はほとんどなく、
デモ口座の結果とも異なるのがEAの実金稼働の難しいところです。
そもそも世にある誇大的なバックテストのデータというのは改竄が可能ですし、よく見せようと思えばいくらでもよく見せられます。
良いパフォーマンスの期間だけを切り抜く、不都合なエントリーを削除、伏せるといった初めから存在しなかったように見せかける事はいくらでも可能です。
それだけを判断し導入するのではなく、自身であらゆる時期、資金量であったりと色々試した上で導入しましょう。
そのため実際に稼働させて資金がどうなっていくのか、その経過を観察する必要があるのです。
シミュレーションをよりリアルに現実に即していくために、実際投入する証拠金に指定し、通貨ペア、時間足を選定し、稼働させるタイミングなども吟味した上で稼働させます。
また、敢えてショートしてしまう金額まで減らして限界を知っておくことも重要になります。
あらゆるケースでシミュレーションしてからフォワードテストへ移行します。
そしてその口座が3カ月~堅調に運用できるようであれば初めて実金投入して良いと言えるでしょう。
(EAにより異なりますが、筆者の場合は上記の流れを踏んで実践。理想は半年、また同じ過程で2度実施出来ると尚良い)
こうしたシミュレーションをしておくことで前々回の記事で述べていた、
【EAを稼働させている】
という不安材料を限りなく排除する事が出来ます。
度重なるシミュレーションで裏付けが取れている事から溶ける心配を排除する事が可能になるのです。
最大ドローダウンがどれくらいであるかというリスクも承知しているので、強い自信、確信を持てる事で不安を感じる要素がなくなるわけです。
裁量トレードは都度分析し、自ら取引を行っていく事で様々な障壁に直面しますが、
EAトレードの場合そういった面倒な点がない代わりに、取引をするまでに違う意味での下準備が必要になるのです。
これを入念にやっておけばやっておくほど、高パフォーマンスを維持し着実に資金を増やす事に繋がります。
バックテストの重要性

バックテストとは作成した自動売買(EA)を過去のテストデータを用いてシミュレーションテストすることです。
市場に出回っているEAを購入、ダウンロードする事で利用可能で、基本的にEAは開発者によって事前にバックテストされています。
それにも関わらず資金が目減りしていくEAが大半なので、提示された結果と実際に稼働させた時の結果が異なるEAが市場に多く流通しています。
実際の結果と大きく異なる場合がほとんどなので自分で稼働させてみる事が大切になります。
バックテストの最も重要な点は、あらゆる相場で複数年間、長期運用に耐えられるかどうかを確認することです。
相場はトレンドだけでなく、レンジ相場と言われる乱高下、
さらには指標発表といった急激な値動き、フラッシュクラッシュによる急落にも耐えなければならないからです。
リーマンショックやコロナショック、為替介入等、挙げたらキリがないほどリスクが多いのが相場の世界です。
いつ起こるか分からないリスクに備え、相場に参入し続ける以上は今後1度は訪れるであろうそれらの厳しい局面を乗り越えていかなければいけないのです。
デメリット
通常のバックテストにおいてはスプレッドの変動やスリッページ、スワップが無視されます。
そのため本来なら発生しうる、スプレッドの変動や、約定位置がずれるスリップはありません。
またスワップと呼ばれるポジションが日をまたぐことによって発生するポイントも無視されます。
有料のTickDataSuite(TDS)を契約し、精度の高いバックテストの方法を用いて、
変動スプレッドを採用するといった事は可能ですが、敷居が少し高くなることは言うまでもありません。
ですがプロトレーダーであればTDS環境を整えた上で活用している方がほとんどなので、是非そちらも挑戦して頂けたらと思います。
TDSを活用すれば、MT4ごとにヒストリカルデータの設定作業をする必要はありません。
データ管理はTDSのみで行うことが出来、リアル相場に近い環境でのバックテストが可能になります。
Tick Data Suite(TDS)とは

TDSとはMT4のバックテストで使用するバックテストツールの略称です。
もちろんMT4のストラテジーテスターでもバックテストは可能ですが、より正確なデータを算出するためにTDSを使用します。
なぜならMT4のストラテジーテスターの場合、価格の値動き(ティック)については、疑似ティックを生成しバックテストを実行するため、リアルタイムでの値動きと異なります。
モデリング品質は90%と限度があります。
対してTDSの場合だと、ティックレベルのヒストリカルデータを使用するため実際の値動きを再現することができ、
よりリアルに近い環境の高品質でバックテストを実行でき、モデリング品質も99.9%となります。
私自身TDSを契約する以前は複数のEAをバックテストするためにMT4を複数インストールしていました。
しかしMT4の各口座別に最新のヒストリカルデータに更新する等の管理作業が非常に煩わしく、TDSを使用することでそれらの行程を省く事が出来ました。
最新のティックデータを簡単にダウンロードすることができるというのも利点の一つでしょう。
恐らく契約したての方が最初につまづくであろうTDSの設定詳細については、
トレーダーのコウスケ氏が記事を紹介しておりますので、是非そちらも併せてご覧ください。
「TDSとは、そのメリット・デメリット」はこちら
検証期間はどれくらい?
バックテストの検証期間も重視すべきでしょう。
最低でもバックテストの検証期間は5年以上のEAを選ぶべきです。
2000年~2005年の5年間と、2018年~2023年の5年間でも相場の地合いは違うため結果が大きく変わってくるEAが多いはずです。
短期間での検証ではなく、長期的な目線で利益が出せるEAを選ぶ必要があります。
前述のように短期間の検証で好成績の場合は運が良かった可能性が高いです。
運用期間が長いほど成績が安定していると言えます。
筆者も2000年、または2004年から現在に至るまでの期間を設けています。
2000年から2005年の間で偶然好成績だっただけで軌道に乗ってしまった、という可能性もあるので開始期間をズラしていき、数年間後ろ倒しに実施して検証します。
2012年から稼働させたらあっという間に溶けてしまった、というケースもざらです。
その場合は証拠金を上げて解決する問題かどうか、そうでなければ実金投入するに値しないロジックであったか、という具合に基本的にはネガティブに審査していく方が良いでしょう。
期待を抱いてEAを稼働させると不都合が生じた際にEAお祈りトレーダーになってしまいます。
そうならぬようあらゆるケースで検証し、必ず検証期間が長いEAを選びましょう。
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